モチベーションアップに「褒める」は必要か?

チームメンバーのやる気を引き出すために、リーダーはメンバーを「褒める」べきなのでしょうか。
それとも「褒めること」をそれほど意識しなくてもよいのか。
チームを運営する立場のひと、部下を育成する立ち場のひとは、一度は考えたことがあるテーマではないでしょうか。

個人的な感覚は「褒めて育てる、能力を伸ばす」という風潮は、一般的に強いのではと感じている。褒めることとは反対の「叱る、注意する」ことは、うっかり方法を間違えば「パワハラ」といわれかねない空気もあります。

わたし自身に関して言えば、褒められて育つタイプではありませんでした。叱られてダメ出しをされたほうが「悔しい」という気持ちになって、それを原動力に動くタイプ。褒められることにはあまり慣れていないし、たぶん好きではありません。
たとえば上司にほめられても「あぁ、他の人に振りにくい仕事がくるな」などと猜疑心のカタマリになる可愛げのないタイプです。

一方、チームリーダーや管理職として仕事をしていたときには、どうだったかというと、いわゆる「褒め言葉」は使っていませんでした。

「いつもがんばっている」
「優秀」
「すごい」

こういったあいまいな表現は使わないように心がけていました。なぜなら、これらの表現はいかにも表面的で薄っぺらく感じるからです。
極端に言えば、心が無くても口にできる言葉。自分が言われたら何よりも寒気がするので決して口にしてませんでした。

では、全く褒めなかったのか、というとそういうわけでもありません。
「褒める」と定義してよいのかは分からないが、わたしが実施していたことはその人自身の強みと思う「事実」を伝える」ということです。

「Aさんが作ってくれた改善案で相手の部署も納得してくれて収まったよ」
「Bさんが対応してくれたC店舗の件、あれから、先方が事前に相談してくれるようになったよ」
「Dさんは細部まで気を抜かないで確認してくれるので助かる」

と、どんな些細な事でもその人が担当したことや、強みと思われることは伝えていました。

そして、自分で事業を運営するようになってさらに気づいたことがもう一つあります。

それは、できるようになったことを「伝え続ける」ことの重要性。

スタジオでのフィットネス事業は、指導するという側面もある一方で接客業でもあります。接客業は、お客さんが快適になるサービスや商品を提供することが基本。

ですが、接客業といえどもわたしは下手な「褒め言葉」は出来る限り使いたくないと思っています。承認欲求を満たされたいという人がいることはもちろん理解していますが、心にも思っていないことはわたしは口にできません。
ではどうしているかというと、先ほど書いたように、お客さんに対してもその人の良い部分を必ず伝えています。

「上半身の筋力は強い」
「脚の裏側の柔軟性は高い」
「よくインストラクションを聞いている」
「聞いたことを体に伝えて動かせる器用さがある」

と、体の特徴のみならず、レッスン中に気づいた良いことは全て伝えるように意識しています。

また、トレーニングを続けてきている人には、できなかったことができるようになったときにそのことを詳細に伝えることをしていくと、お客さんのモチベーションアップにもなるということに気づきました。

「トレーニングの力がついてきたな」と自分自身でなんとなく感じていても「単なる自己満足かな」と考えてしまうひとも中にはいます。

ところが、教わっている人から「できるようになった」と言われることで「成長していることを見ている人の言葉」になるので、本人にとっては自信につながるのだと思います。

「伝え続ける」ためには、当然、その人を見続けなければならない。それは結構大変なこと。
しかし、「きちんと自分のことを見続けていて、良い部分がある、と認めてくれる人がいる」ことに嫌悪感を抱く人は少ないと思うし、そうした安心感があることによって、お互いの信頼関係を築けるのでないでしょうか。
上っ面で表面的な「褒め言葉」よりはずっと、モチベーションアップにつながるとわたしは思います。
しっかりメンバーを見ていることができれば、少なくともモチベーションが低下している状態に気づけるし、信頼関係が作れていることで相談もされやすいと思う。

メンバーの士気が少し低下してきて悩んでいる、どうしたらよいのかと考えているひとがいたら、まずはメンバーの強みやその人自身の成長を「事実」で伝えてみてはいかがでしょうか。

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