相手がイライラしているときでも話をするべきか

先日、外部で研修をさせていただいた際、受講者からつぎのような質問をいただきました。

「相手の機嫌がわかる場合、なんとなく不機嫌とかイラついてそうという部下に対しても、伝えなければいけないことはそのときに話をしたほうがいいのでしょうか」

なるほど、自分は平常心であっても相手がそうとは限らない場合もたしかにありますよね。

自分の気持ちはコントロールできるけど、相手の気持ちをコントロールすることはできません。

でも仕事をするうえで、業務上の注意や改善が必要なことなど大事なことは伝えなくてはならない。

このような場合にはどうしたらよいのでしょうか。

 

イライラしているときは話を聞ける状態か?

こちらの記事は、自分が伝える側のときには冷静に、イライラしている状態だと自分のイラつきだけは伝わって肝心の話は伝わらないので気をつけよう、という趣旨のことを書いています。

 

では、反対の場合、相手がイライラしているときはこちらが伝えたいことを聞き取れる状態なのでしょうか。

 

これは個人差があると思いますが、話し手の意図をしっかり汲み取れるかどうはむずかしいのではないかと思います。

とくに、相手のイライラの原因が仕事上のトラブルなど業務に関するものであったとしたら、たとえ上司から「話しがある」といわれても内容によっては余計にイラつきが増すリスクもあると思います。

わたし自身も経験がありますが、気持ちが落ちつていないときにああだこうだと上司から注意されても口では「はい」「わかりました」とか応えていても、しっかり聞かなければならないことを聞けていなかったことはあったと思う。

その証拠に、上司から注意された直後に取り組んだ仕事でまたミスをやらかして「あのとき伝えたろうが!」と怒られたことも20代の頃にはありました。

 

もちろん個人差があるので、たとえ気持ちが穏やかでないときに上司からいろいろいわれたら、その瞬間に気持ちを取り直して冷静になれるひともいると思いますが

ご自身に置き換えてみたときに「そういう状態だとあまり話しは聞けないかな」と思うようでしたら、相手も同じような状態と考えておいておくのが良いと思います。

 

相手に「あなたに話がある」ということを先に伝える

では、相手がイライラしているようなときは、いっさい声をかけないほうがいいのでしょうか?

あとで時間を置いても良いのであればそれで良いのかもしれません。というか、あとで良いならしっかり話を聞いてもらうためにも、そのほうがいいですね。

しかしそうでない場合にはどうするか。

わたしは「あなたに話があるのだけど、いま話しを聞ける状態ですか」とストレートに伝えます。

ちょっと面食らう対応かもしれませんが、相手がイライラしているときにおもむろにダラダラ話せば「空気読めないやつだな、あとにしてくれよ」と、相手の感情は余計に悪くなるかもしれません。

まず最初に「話を聞ける状態か」とことわりを入れれば、少なくとも相手には「話がある」ということは伝わるし、ひとによってはその場で気を取り直すひともいると思います。

まずは、ことわりを入れてみるのが良いと思います。

 

冷静かどうかは重要、ただし「問題の共通認識ができるか」のほうがもっと重要

ただし、相手が話を聞ける状態だったとしても、もう一つ気をつけなければならないことがあります。

それは話の根底にある「問題の共通認識ができるかどうか」です。

これはもちろん、相手がイライラしている・していないにかかわらず、チームや部署内における業務上のコミュニケーションのすべてにおいて必要なことなので、相手の気持ちが落ち着いているかどうかだけでなく、「こちらの話を聞いて、相手も考えられる状態であるかどうか」まで念頭においておくのが良いと思います。

せっかくお互いが話をできる状態になっていても、肝心の「共通認識をあわせること」を忘れてしまっては意味がないですからね。

 

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