最近ではすっかり若手社員に毛嫌いされている感のある会社での飲み会。
歓迎会や送別会、暑気払い、納会などのイベント要素の飲み会のほか、
チームや個人単位で軽く一杯、というケースなど会社が絡む飲み会は
いずれにしても嫌われがちな印象を受けます。
日本生産性本部が平成 29 年度新入社員 1,882 人を対象にした「働くことの意識」調査結果を先日発表していましたが
就業意識の調査項目で「職場の同僚、上司、部下などとは勤務時間以外はつきあいたくない」に対して
「そう思う」「ややそう思う」と回答した人が昨年の20.7%から30.8%に上がったというデータもあります。
(出典:公益財団法人 日本生産性本部 調査研究「平成29年度 新入社員 働くことの意識調査結果
~「人並みに働き 楽しい生活をしたい」志向強まる~」http://activity.jpc-net.jp/detail/lrw/activity001510.html)
以前なら業後のちょっとした息抜き代わりに考えられていましたが、今では息抜きどころか、
誘われる若手からは息苦しさを感じる声がよく聞こえてきます。
- プライベートな時間は会社の人と関わりたくない
- 参加しなければならない飲み会なら残業代払ってほしい
- 上司と飲んでもつまらない、早く帰りたい
なぜこんな風に思われるようになったのでしょうか。
働き方に対する価値観の変化
ワークライフバランスという言葉が出てきたように、仕事一筋という価値観は廃れて
充実したライフを支えるための仕事という価値観が主流になってきました。
仕事とプライベートの線引きは、ある種、時間で区切るのが考えやすいのか
「業後は自分の時間、なのになぜ会社や上司に合わせければならないのか」
という考え方が広まりつつあるのは確かです。
誘う側に余裕がない
人事制度が年功序列、終身型雇用から成果主義に変わる企業が増え、
転職市場が拡大してくるほど、働き方そのものが以前と変わってきています。
「成果を求める」という流れの中で、企業や管理職として働く社員も
時間、お金、精神面、いずれも余裕がなくなってきている、ということが考えられます。
飲み会を開催する側に余裕がない。
お酒や食事を楽しみながらコミュニケーションをとるのが本来の在り方ですが、
誘う側の会社や上司に余裕がない状態で慣例的に宴席を設けても誘われた側も萎縮してしまいます。
あるいは飲み会に行っても上司が愚痴ばかり、では誘われた部下は、
単なる聞き役でしかなく、都合よく付き合わされた、と思うのは自然。
愚痴を超えて、セクハラ、パワハラなど自制の効かない人がいるのも、飲み会に対するイメージを下げている要因です。
そもそも昔から嫌がられていた、ガマンしていただけ
最近になって飲み会が嫌われていると思われがちですが、誰もが発信しやすくなっただけで
そもそも以前からネガティブな印象を持っていた社員は一定数いた可能性も否めません。
むしろ「昔はみんな嫌がらずに参加してた」というのは思い込みかもしれません。
本当は嫌だと思っていたけど言わないだけ、相手の心情を知らないだけで
必ずしも全員がポジティブな気持ちで参加していたわけではない可能性もあります。
コミュニケーションの場として成り立つための条件
では飲み会というコミュニケーションの場が有効に機能するためには、何が必要なのでしょうか。
話を聞いてみたいと思われるかどうか
働く価値観が変わってきた現代において、
「飲み会=自分の時間を割く」という認識の社員と食事を一緒にする、飲みに行くということは
「時間を費やすだけの価値があると思ってもらえること」が必要なのではないでしょうか。
話をしてみたい、聞いてみたいと思われるかどうか。
それは職場でのやりとりや日頃の立ち居振る舞いから、自分がどんな人間かは案外周りに伝わっているものです。
話し方、口癖、周囲への仕事の関わり、会釈や挨拶がある、などあらゆる態度から人となりを見られています。
まずはそうしたところを見直してみることが必要ではないでしょうか。
飲みに行く前に信頼関係をある程度築くことができているか
コミュニケーションの考え方として
宴席で仲良くなる → 人柄を知る → 距離が縮まる → 信頼できる
という流れではなく
日常の業務を通じて人柄を知る → 距離が縮まる → 信頼できる → 宴席で親しみが沸く
という流れでないとおかしなことになります。
宴席は人と人との距離が縮まる潤滑油の要素がありますが、適正な距離感を予め分からない状態で
アルコールが入ることは相手を不快にさせる、これはごく自然なことです。
仕事を通して「この人とは合わない」と感じているからこそ、そもそも参加したくない。
加えてお酒の勢いで失礼な態度をとられたら、確実に参加しなくなりますね。
まとめ
歓迎会や暑気払いなど部署単位での飲み会は「参加して良かった」と感じれば
一緒に働く人に対して親しみを持ってもらえる良い機会だと思います。
もちろんイベント的な飲み会だけに限らず、普段の業務後に軽く飲みに行く、という場合も同じです。
だからこそ、普段はなんとなく話づらいけど、飲み会をやれば…という発想は本末転倒。
お酒の力を借りないと相手と距離を縮められないというのは、
コミュニケ―ションの本当の意味を成していないです。
その発想ではなく、日常業務から信頼関係を築けるように心がけておきたいですね。