(この記事は note「運営者の雑感」にて掲載した記事を加筆修正して掲載しています)
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営業担当者のAさん、Bさん、Cさん、Dさん。
それぞれ自分のクライアントに対して、近々提案するプレゼンがあります。
そして、プレゼン本番の前日に、各々、準備をしています。
Aさんのプレゼン準備
会社の会議室でスライドを投影しながら、お客さんがいることを想定して、最初から最後まで通す練習。
話す内容の順番を間違えないように、スライドと、自分が話すことを連動しながら何度か練習しています。
3回目の練習で「順番どおり間違えずにできた」という自信を得たので終了しました。練習時間40分。
Bさんのプレゼン準備
Aさんと同じく、会社の会議室でスライドを投影しながら、お客さんを見立てて最初から最後まで通す練習。
Bさんは、日頃から緊張しやすいので、準備をしているときも心臓がバクバクしています。そのせいか表情が硬く、口が上手く回らない。
5回目の練習で、ようやく最初から最後まで、つっかえることなくプレゼンをすることができたので、練習を終了。練習時間60分。
ですが、Bさんはプレゼン当日にも直前に5回練習をしました。
Cさんのプレゼン準備
Cさんは会議室を借りて練習をしようと考えていましたが、あいにく都合の良い時間帯がなかったので、当日のスライド資料を、まずはパソコンで最終確認しました。
順番は間違っていないか、誤字脱字がないか。
確認を終えた資料は、閉じる前にプリントアウトしました。
プリントアウトした資料を家に持ち帰ったCさんは、頭の中でプレゼンに出席するメンバーを思い浮かべます。
そして、資料のなかで最も伝えたい部分、伝えなければならないと思った部分に付箋を貼って、その部分だけを声に出して話す練習をしました。
部分的な話す練習は5回、練習時間は30分。
睡眠時間を多く取らないと体調が優れないので、Cさんは早々と寝ました。
Dさんのプレゼン準備
Dさんは、AさんとBさんと同様に、会議室を借りてプレゼンの練習をしました。
日頃からお客さんとの会話を楽しめるDさんは、人前で話すことに対して抵抗が無い性格なので、プレゼン練習も1回でスムーズにできました。
ところが、Dさんはプレゼンの練習を止めずに何度も繰り返しています。
ときには、スライドの順番をわざと入れ替えたりして話す練習をしています。お客さんとの具体的なやりとりを想定しているのでしょうか。
4回目の練習の途中、Dさんは、一旦話すことを止めました。頭の中で少し混乱した部分があったからです。
その後、5回目の練習ではスムーズにできたので終了しました。練習時間60分。
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Aさん、Bさん、Cさん、Dさん、それぞれやり方も練習時間も違います。
そして、本人が自覚しているかどうかは分かりませんが「準備」の目的が少しずつ違っています。
Aさんはプレゼンを滞りなく予定どおりにできるようになるため。
Bさんは緊張しないでプレゼンをできるようにするため。
Cさんはプレゼン相手に伝えたいことをしっかり伝えるため。
Dさんは失敗するポイントを探るため。
どのやり方が良い悪い、という話ではありません。
プレゼン相手や内容、目的に合わせること、そして何よりも、プレゼンをする自分自身の性格に合っているやり方かどうかが大事だと思っています。
一見、Bさんはやたら時間をかけていてムダなように見えるかもしれない。相手のことを考えてないように見えるかもしれない。
Cさんはその逆で、時間は効率的に使っているけど、最初から通す練習をしていないから「ちょっとナメてない?」と思われるかもしれない。
「準備のやり方」だけにフォーカスしてしまうと、そういう見方にもなります。
けれど、自分に合ったやり方で自分の気持ちを落ち着かせることができたBさんは、プレゼンの中でお客さんから出る要望や質問にきちんと答えられるかもしれない。
プレゼンに出席するメンバーを想定したとき、絶対想定どおりに行かないなと予測したCさんは、それでも「伝えるべきこと」を忘れずに伝えることが重要と考えて、そのとおりにできるかもしれない。
手法だけを取り上げて、良し悪しを考えないほうがいいと思っています。
ちなみにDさんの事例は、スタジオのインストラクター(teri先生)からヒントを得ました。
ショーを控えたteri先生は、リハーサルを、通常の人の何倍もやります。不思議に思って尋ねたときに返ってきた答えが
「リハは失敗しないためにやるんじゃなくて、失敗するまでやるもの」
でした。
たしかに、お客さんの前でパフォーマンするということは、想定どおりに行かないことも多くあります。ふだん上手くできていることも、自分が想定しない部分で失敗してしまうかもしれない。
そういう考えがあるのだと思います。
仕事の準備、発表の準備、面接の準備、日常的にいろいろな「準備」があると思います。
これからなんらかの「準備」をするひとは、ぜひ「何のための準備か」と「自分に合ったやり方」を上手く組み合わせるやり方を見つけてみてはいかがでしょうか。
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