他人から学ぶ

4月、新年度が始まるこの時期は、時節柄習い事や自己啓発、自己投資の広告が多く目につく。
スポーツジム、英会話、エステ、新刊発売、これらのものが駅や電車などにたくさん出稿されている。
先日、ふと目にした、マンツーマン英会話のキャッチコピーを見て思うことがあった。
 
「人の英語を聞いている時間がもったいない」
 
グループレッスンを行っている他のスクールとの差別化をアピールしていると思われるコピー。
その英会話スクールに、私は何年か前に2,3年ほど通っていたこともあり、伝えたいことはなんとなくイメージがついた。
 
「確かにその通りだな」とコピーを読んだ瞬間に思った。
でも一方で、「学ぶという意味では、必ずしもそうとはかぎらないのでは・・」と疑問もわいた。
 
 
マンツーマンスタイルとグループレッスンとの違いはいくつかあるが、先ほどのコピーが表しているのは、マンツーマンレッスンはグループレッスンに比較して「一人あたりの『会話をする時間』が長くなる」という違いであり、これが何よりマンツーマンスタイルの「売り」ポイントだ。
 
限られた時間の中で、いかに多くのことを学べるか、という効率性の良さをアピールしているのだと思う。
 
しかし実際、私が通っていたときに思ったのは、「レッスン時間の最初から最後まで、ずっと会話を続けるのって結構大変だな」ということ。
特に会話に慣れるまでは、言葉に詰まってしまい、沈黙の間ができてしまうことが何度かあった。
もちろんそのときは講師が適切なフォローをしてくれたので長い沈黙にはならないが、なんというか、自ら言葉が出てこないもどかしさや焦りを何度か感じた。
 
他のグループレッスン形式のスクールに体験入学したときは、確かに一人あたりが発言する機会が減るので、会話をしたいのにできないじれったさを感じつつも、他の人が話す表現に「なるほど、そういう伝え方をすればいいのか」「聞き慣れない単語が出てきたな」と学べる部分もあった。

 

そして、このことは、いま私がトレーニングやパフォーマンスを教える立場でお客さんを見ていても感じる。
 
 
以前、「顧客満足は100%こちらがつくれるもの?」という記事で書いたように、私のスタジオでは、毎回、受講者の人数が違うことが多い。基本はグループレッスンなのだが予約状況によっては、お客さんが一人になってしまうこともあれば、大人数になることもある。
 
人数が多くても一人でも、基本的に実施するプログラムは同じ。ただ人数が多いと交代で器具を使うため、他の人のトレーニングを必然的に目にするし、その人へのアドバイスを皆が聞くことにもなる。
そうすると、今まで思うようにできなかったことが、他の人の動きを見ることによって気づきが生まれ、なぜ思うようにできなかったか振り返ることができる。
 
何かを習得しようとするとき、人は効率的な方法を求めがちだが、実際は思いどおりにいかないことも多い。
 
そんな時、日頃から他人の経験を活用する意識があれば、物事の習得の仕方も広がりが生まれると思うし、「他人の理解の仕方」を知ることで、自身のインプット方法やアウトプットの仕方にも応用が利くと思う。
自分が伝えたいこと・教えたいことが、どのように相手に伝わるかを事前に予測して、伝え方のバリエーションを準備できる。
 
自分の視野や思考傾向、何かしらアウトプットし続ける能力には、一定の限界がある。そこを広げるには、ひとから学ぶほうがずっと効率がいい。
 
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人は常にいろいろな“可能性”を秘めていると思います。自分自身も、一緒に働く仲間も、何かちょっとしたきっかけがあればプラスに発揮される能力が隠れています。
当社はその「ちょっとしたきっかけ」をとおして、お客様自身に新たな能力に気づいてもらいたい、それをビジネスにつなげてもらえるようなサポートを目指しています。

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